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2014.03.17 (Mon)

『Laplace』 Part.3 -Honey Crisis- 文章&挿絵サンプル1

『Laplace』 Part.3 -Honey Crisis-の文章&挿絵サンプルその1になります。
今回はどの挿絵をとってしても展開が無難でなく、少々のネタバレを含むものとなっております。
承知の上で続きからお願いします。

【More・・・】




 私は何があっても驚かないようにと自らに心の準備を課しては、玄関の扉をくぐり、靴を脱いで綺麗に揃えて、ゆっくりと奥のリビングへと続く道を歩く。
 先へ進むごとに、破壊の旋律はよりはっきりと私の耳へと音の波を届けるようになる。大小様々な質量がぶつかり合ってはその身を砕く不協和音。私はもう確信の至りで、現場に繋がるそのドアを開けた。
「……まどか」
 それは、想像以上の光景だった。
 目の届く範囲で壊せそうなもの全てが、とにかく彼女にとっては対象だったのだろう。放り投げられ、あるいは叩き付けられたであろう食器、家具の破片がそこかしこに散乱している。
 何より私をぎょっとさせたのは、その破壊の海の中央にて、赤い、どう見ても人間の血液にしか見えない液体がまさしく血溜まりを作っており、まどかはその鮮烈なスケッチの中心に厳然として存在していた。肩を上下させ、苦しそうに浅い息を繰り返し、私が来たことにもまるで気付いていない様子だった。
 私はもう一度、今度は少し大きな声で彼女の名前を呼ぶことをし、それでようやくまどかは私という存在を認識するに至った様子だった。
「何をしているの」
「ほむら……ちゃん」
「すごい有様ね」
「ほむらちゃん……わたし、私? あ、あぁあ…………」
 生気の欠片も感じられぬ瞳であった彼女だが、どうやら完全に、取り返しの付かないまでに破綻を来した訳ではないらしい。私を暁美ほむらとして認識するや否や、その面には人間らしい感情の色が灯り、ただしその全ては狼狽、恐怖などうしろ向きのものである。糸の切れた操り人形のように不自然な格好で身を震わせながら、まどかは弁解を始めるのだ。
「ご、ごめんなさい、ほむらちゃん……私、こんなことするつもりじゃ」
「問題ないわ。落ち着きなさい」
「でも、だって、こんな、私! あうっ!」
 今に至るまで痛みすら頭に入って来なかったのだろう。踏み出したその先の破片を踏み付けては苦痛に顔を歪ませる彼女について、このままでは会話もままならない。
 止むを得ず私は時を止め、朱の中に交じる陶器やプラスチックを踏み付けぬように気を配りながら、まどかをその場から抱き上げる。すっかりと動揺をしてしまっている彼女を、破片の散らばっていない安全な場所へと退避させたのちに、時を解放した。
 一瞬の内に今までいた場所から移動をさせられ、フロアへと横たえられていることに驚くまどかなのだが、既に何度か見せている力であるのだ。原理までは分からずとも、有無をいわさぬ力のようなもので、自身が干渉を受けたということを理解したのだろう。こちらへの動揺もそこそこに、やがて自らが起こしてしまった事態への懺悔を始める。
「ああ……私、私、とんでもないことを……ごめんなさい、ほむらちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「そのことはいいわ。それよりもまずは傷を見せなさい」
 私がそういうと、まどかは何かいいたそうにしながらも、それ以上はぐずることもなく両手を差し出してくれる。そうだ、いい子だ。何を以てしてもまずは私がいったことを守らねばならない。
 私は彼女の手を片方ずつ看ることをし、やはり細かな裂傷が多数見受けられる状態となっている。こんなにも綺麗な手を傷だらけにするだなんて、あとで落ち着いた時にうんと叱ってやらなければならない。
 一先ず、私は魔法の力で彼女の傷を治しに掛かる。致命傷という訳でもない。この程度の症状であれば跡も残さず完治させることが可能であろう。
 私が患部にソウルジェムをかざすだけで傷が癒えていく様を、まどかは驚いたような顔で見るものだが、常識的な観点から鑑みるならば奇跡のような所業ともいえるこの光景を目前としても、今の彼女は特段に所感を述べることもない。
 きっとまどかが元来保有していたはずの常識という土台は、私の手によってもうすっかりと破壊し尽くされてしまったのだ。私という存在は彼女にとってはイレギュラーに他ならず、万能の神か、あるいは彼女という存在を失墜させるために現れた、悪魔のようなものにでも映っているのかもしれない。
 両手が終わると、そのまま彼女の靴下を脱がしてやり、破片を取り除いてから同様に足の傷を癒やしに掛かる。ものの一分も掛からぬ内に処置は終了し、念のために痛いところはないかとの問も振るが、幸いにもまどかの答えは否であった。
「本当に、ごめんなさい。私、こんなことするつもりなんてなかったのに……急に、自分が自分じゃなくなったみたいになって……」
「あなたは疲れているのよ。少し待っていなさい。今、何か温かい飲みものでも淹れるわ。それで少し落ち着いて……」
「駄目だよ! カップとか、私が全部壊しちゃったもん。全部、全部、私が全部」
「まどか」
「ねえ、ほむらちゃん、私ね、何かおかしいんだよ。この部屋の中でただじっとしていると、まるで自分が自分じゃなくなっていくみたいで、私が、私が……まるで空気の中に溶けていくみたいになるの」
「考え過ぎよ。あなたは、あなたよ」
「だって! 一日中ずっと部屋に閉じ込められて、ほむらちゃんがいる時にご飯を食べるか、あとは寝るくらいしかやることがなくて。こんなんじゃまるで私なんていないみたいで、その辺に置いてあるものとかと、そんなのと変わらなくなっちゃったんじゃないかって、いつもいつもそんなことばっかり考えちゃうんだよ」
 いよいよ堪えの利かなくなったまどかはその瞳から大粒の涙を零し、
「もう私、おうちに帰りたいよお。ふえぇぇ……」
「まどか、ごめんなさい。それでもそれは、出来ないわ」
「分かってる。ほむらちゃんは私をここから外に出してくれないのは分かってる。けど……」
 もはや駄々っ子のように泣きじゃくるまどかを、こんなにも追い詰めたのは私なのだ。彼女の心を摘むと心して掛かった、その目的通りの筋道とはいえ、やはり心が痛むものである。
 それでも、やはり彼女を解放することは出来ない。そんなことをしてしまったらこの一ループ、ひいては、この時間軸において拉致から監禁までをされてしまったまどかの、それこそ甲斐がない。先導者こそが首尾一貫性を保たずして、打ち立てた仮説に対する正確な観測がどうして出来ようものか。私には、こうまでして私が採った行動の帰趨をしっかりと見届ける義務があるのだ。
 ――ただし、人の精神には負荷に耐え得る限度というものがある。他の誰でもないこの私こそがこれを重々承知している。このままの一方的な状態を続けていては、今のまどかのことだ。最悪のケースも考えられる。先手を打って何らかの調整を図らねばならないと感じる。
 今の彼女には何かしらの人間的な刺激が必要だ。食べることと、あとは眠ること以外にすることのないという、そんな彼女に生き甲斐を提供する、シンプル且つ何か上手いやり方は――いや、あるいは、そうか。
「まどか」
 私は泣きじゃくる彼女の肩を抱き寄せ、しゃくりあげる勢いの上から無理やり被せ、抑え付けるようにして、彼女の唇を自らのそれで塞ぐ。

LHC_2.jpg

 まどかはまるで驚いたようで、呆けたような面もそのままに固まってしまい、動き出すことも敵わない様子であった。
 暫時の接触を終了させたのち、間髪をいれずに私は宣言をする。
「まどか、私と性交をしましょう」
「……え?」
「セックスをしよう、といっているのよ」
「え、どうしてそんな。ちょっと待ってほむらちゃん。よく、分かんない……分からないよ。私……」
「難しく考える必要はないわ。あなたの困惑や懸念はきっと些細な問題で、始めさえすれば、じきにどうでもよくなるはずよ」
「でも、そんなのって」
 有無をいわさず、私は彼女を抱きかかえる。いわゆるお姫様だっこというやつだ。流石の私でもまさかこんな血と破壊の衝動が支配する場で致す訳にはいかず、それに女の子というやつはこういう扱いに憧れるものなのだろう? そうだ、まどかは魔法少女ではない。ただの少女なのだ。これからの私は彼女を少女として留めるため、最大限それらしく、まどかを扱っていかねばならない。


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テーマ : 魔法少女まどか☆マギカ ジャンル : アニメ・コミック

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